トランペット奏者・日野皓正の中学生ビンタ騒動、一刀両断!

先日世界的トランペッター・日野皓正(ひのてるまさ)さんが公演中のステージ上で中学生のドラム奏者に「往復ビンタ」や「髪をつかむ」などの体罰を加えたとの報道がありました。ネットでも賛否両論の意見がある中、音楽を教える立場にある音楽講師の目線から今回の騒動について話していきたいと思います。

なぜ日野皓正の中学生ビンタ騒動は起こったのか?

事の発端は8月20日、今年で13年目になる
「世田谷教育委員会」主催のコンサートにて、
世界的トランペット奏者である日野皓正
世田谷区立中学生によるビックバンドの演奏がありました。

中学生たちは日野皓正をはじめとした
プロのジャズミュージシャンの指導のもと、
4ヶ月に渡って練習を重ねてきていました。

今回は教育委員会主催ということもあり多くの保護者が来場されていて、
子供・保護者ともに楽しみにしていた晴れ舞台です。

その演奏中に子供達が短い時間でソロをして回すという場面で、
ドラムの中学生が長時間ソロを続けて周りは困惑。
注意するも演奏を止めず収集がつかなくなった為、
日野氏がスティックを取り上げました。

しかしそれでも素手でドラムを叩き続け、
注意した日野氏を睨みつけるという事態になりその結果、
日野氏がその中学生の髪を掴み、
往復ビンタを行うなど手を出してしまったという内容です。

 

ビンタ騒動に関して賛否両論の意見

このビンタ騒動に関して賛否両論の意見があります。

・中学生の身勝手な行為が度が過ぎていたので、見ているこっちも腹が立ちました
・一生懸命練習してきた他の子がかわいそう

・暴力を目の当たりにして、自分の子供も暴力を受けているのか心配になった
・お金を払って見にきているのでスタッフも他にいたはず。イベントとしてもっと良い対応はあったはず

他にも多くの賛否両論があり立場によっても意見は大きく分かれていて、
確かにどちらの言い分も理解できます。

トランペット奏者・日野皓正の言動は正しいのか?

全員の晴れの舞台で一人が好き勝手に演奏を始めて
ステージを台無しにしてしまうという事は、
いくら中学生としても一所懸命練習してきた他の子たちの気持ちを踏みにじる行為です。

演奏後にドラムの中学生とその保護者ともに謝罪もあり、
本人はとても反省していたようです。
それが体罰によるものなのかどうかは不明ですが、
教育に携わる音楽講師としてダメなものはダメと教育する責務がありますので、
教育として考えるのであればよかったかと思います。

しかし!!

今回の騒動で、果たしてトランペット奏者・日野皓正氏の
「髪をつかむ」「ビンタする」などの体罰は本当に必要でしたでしょうか?
他にもイベントスタッフがいたはずです。
その他の方に任せて強制退場させればいいことではないのでしょうか?
日野氏は生徒と特別な間柄だったと説明していますが、
それならなおさら手をあげる以外に選択肢はあったと思います。

情報によっては「軽くビンタしただけ」「ビンタは当たっていない」
などの情報がありますが、そもそも違う対応をしていればそんな事態になっていないはずです。

というより「軽くビンタした」と仮定しても、子供によって感じ方はそれぞれです。
「軽く」も「当たっていない」もその言動事態が問題です。

日野氏の気持ちもわかりますが、
どんな理由であれ手を上げていい理由にはなりません

そして何よりの被害者は他周りの子供たちです。
その子達にどんなフォローをしたのかは情報がありませんが、
あの瞬間、嫌悪感を抱いた人は少なくないはずです。

私のレッスンなどできついことをたま〜にいう時もありますが、
周りへの配慮を考えて言います。
その人にとって教育になったとしても、
周りの生徒にとってその現場が逆効果になり得るということです。

私の含め特に体罰に慣れていない世代には体罰に対して恐怖を覚える人は多く、
私はその場に居合わせただけで本当に体調が悪くなります。
そういう人たちへの配慮が明らかに欠けていたと思います。

当人達同士の問題ではありません。
やるなら二人きりの所でとことんやればいいだけの話です。

メディアや当人達含めなぜそこに着目しないのか全く理解できません。

SNSでもどっちが悪いという議論をしていますが、
私からすればどちらも悪いですし、そこに着目していない議論事態がおかしく感じます。

今回のビンタ騒動に関して音楽講師として思う事

映画「セッション」でも先生と生徒の厳しいレッスン風景や
罵倒する言葉などがありましたが、一部ではそんなことがあるかもしれません。
実際プロの世界はかなり厳しいのは確かです。

しかし体罰などがもたらすものは
「音楽演奏は習得するまでは厳しくて辛いもの」
「音楽レッスンは体育会系」
みたいなマイナスな要素だけを結果見せてしまうことになります。

実際に生徒さんでも
「ジャズドラムをやってみたいけど、厳しそうだし難しそうだし私には無理です」
という方もいらっしゃいます。
せっかく楽しく音楽を始めようとしている人からすれば
その厳しい風習は邪魔でしかありません。

この騒動で音楽に対する嫌悪感(音楽ってこういうものなのかな)
と抱いた方が確実にいる中で、そこに関して疑問点を呼びかける
音楽家・ミュージシャンがいないことが問題です。

誰もがどちらが悪いかの議論ばかり。。
そうじゃないでしょ!!!

今回のような体罰のようなことが「音楽だから」で
世間的にまかり通ってしまうのは音楽講師として許せることではありません。

何よりも問題なのは【教育委員会主催】のイベントということです。
今回の騒動に関してしっかりとした説明はなく、日野皓正氏含めて
世田谷区教育委員会や区長もしっかりとした説明を行うべきです。
うやむやにしていいことでは決してありません。

音楽という少し特殊なジャンルだとはいえ
音楽指導を行うのであれば教育に関わる従事者です。

僕ら音楽講師も教育の従事者であるという
責任感をより一層持って行かなければ、
いつかまた同じようなことが起こるかもしれません。


○この記事の作者○
MusicSalon音雫〜おとしずく〜
music school音と樹-オトトキ-
LiMiC sound create 代表 宮田大輔

LiMiC sound create 代表
東京ミュージック&メディアアーツ尚美 専門学校 管弦打楽器学科 卒業
同校の音楽総合アカデミー学科 修了
公益財団法人さいたま市文化振興事業団 SaCLaアーツ登録講師
公益財団法人音楽文化創造 生涯学習音楽指導員ライセンス取得

クラシックパーカッションを松倉利之.日比一宏の両氏に、ドラムを大井澄東氏に師事。
ラテンパーカッションを増田博之氏、吹奏楽指導法を佐藤正人氏、
指揮法を広瀬隼人氏から学ぶ。

吹奏楽部や鼓笛隊、地域楽団でのレッスンを学生時代から行い
演奏家ではなく”教える専門”音楽講師として活動を行う。
音楽ワークショップの定期開催や講師人材育成、
イベント企画、地域活性化を数多く行う。


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